日傘をさして出かけましょう　41
誘木(いざなぎ)　溟(めい)

　放心状態の耳に、ジージーと蝉が耳障り。
　ヨロヨロと振り返る先には、先の見えない長く長―い階段。延々と上まで伸びている。
　階段の横に整列した柳の木。枝はピクリとも動かず、暑さにウダれて溶けてしまいそう。
　暑くて、ダルくて、嫌になるほどウザい夏。ジッとしているだけで、汗が顎から滴り落ちる。こんな紫外線浴びまくりの戸外。無防備に身を晒すような輩は、一人もいない。
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